MBA受験の中で受験者を悩ませる推薦状。先日コーヒーチャットを初めて依頼され、受験生の方から質問があったので、今回は推薦状についてまとめます。
ビジネススクールなので一般的な海外大学院の推薦状と違う点も。
多忙な上司に推薦状を承諾してもらうコツについてもご紹介。
MBA受験における推薦状の立ち位置
MBA受験において必要なプロセスは大まかに分けて
TOEFL/IELTS→GMAT→Essay→Interview、の4step。
これらの比重は学校によって異なりますが、推薦状は候補者の未来のリーダーとしての素質・キャリアゴールの実行可能性・キャラクターの担保として役割と私は理解しました。
推薦状が決め手になって合格する、ということは考えにくく、あくまでも一要素ですが、ここで評価を下げるのはもったない!
誰に頼む?
候補者のことをよく知っている人物が、推薦状作成に適した人となります。
一般的な海外MBA受験では推薦状は2名作成者を用意する必要があります。
医師の研究留学や一般的な大学院においては、いかに有名な教授に推薦してもらえるかが重要視されている風潮があるけれど、MBAはビジネススクールなので、あくまでも候補者の働きぶりから見える、未来のリーダーとしての素質のウラを取るための推薦状。
つまり、肩書きが凄ければいいというわけではなく、
直属の上司>>>>>>>全然話したことのない社長や教授
という位置付け。私の上司たちは医師で研究留学のことしか知らなかったので、【教授じゃなくて私でいいの?】と言われました・・・。
貴方がいいんです!で押し切り、承諾してもらいました!
私は直属の上司が、赴任したばかりで余裕がないこと、加えて自分との関係性を考えると前上司の方が新しいチャレンジに肯定的なのがわかっていたため、今の上司には依頼しませんでした。
1人目は、上述した今の職場の前の上司、
2人目は、研究を一緒に行っていた、医局が同じ上司
に頼みました。1人目の上司は人間性、2人目の上司は、仕事が早いことで有名で、一緒に研究していてその手際の良さ、猪突猛進さに惚れ込んでいたので、依頼しましたが、結果的に大成功。
自分と上司の関係性、MBA進学に協力的か、仕事の早さ、でこれまでお世話になった先輩方から選んでお願いした結果、本当に良かった!
推薦状を承諾してくれたものの、一向に書いてくれない・・・と悩む方も多いので、慎重に選ばれることをお勧めします。
私がコーヒーチャットを依頼したMBA在校生の中には、1人は上司、1人は担当したクライアント、という方も。
医師だと患者さんがクライアントなので、私はできませんでしたが、顧客に頼むとことができたら、推薦状を依頼する相手の幅が広がるので一考の価値はあり。
いつ頼む?
推薦状の依頼自体は、早めに頼むに越したことはないでしょう。
私はMBA受験を考えているので推薦状をゆくゆく依頼すると思います、と前述の上司2人には前もって話していましたが、出願を1年早めたので、結局どちらにも3ヶ月で書き上げてもらうことに。
幸い、12月末で年末年始を挟んだので、スムーズに下書きしてもらうことができました。
お盆やお正月など長期休暇の前、プロジェクトがひと段落した後なども狙い目かと思います。
いきなり頼むとびっくりされるので、留学を考えていて・・・と私は伏線を張るようにしてました。
どう頼む?
1英語で、2分量の多い、3無関係な分野の、文章を書くことを頼むため、上司の心理的負担を減らすのが肝要。
相手によってどの部分が障壁になるかは異なりますが、私は日本人の子育て中の女性医師のお二人に依頼したので、相手の立場に立って考えました。
1英語での部分はこちら(と校閲業者)で行うことにして、日本語での記載をお願いしました。
英語で250単語であれば、日本語では500文字の計算で分量を算出して自分の中での長さは概算していました。
基本的なプロセスは下記のような感じ。
【推薦者のemailを出願formで登録して質問確認→設問ごとに入れてほしいエピソードや項目があればそれを記載した上で日本語の下書きを字数制限なしで依頼→推敲作業はほとんどこちらで。何度かやり取り→deepL/Grammerlyでこちらで翻訳→プロの翻訳サービスを使ってブラッシュアップ→上司チェック推薦状フォームから上司に登録してもらう】(プロの翻訳サービスは安心料の部分が大きいので最安で終えるなら、実際は不要かも)
まずは推薦状の質問と字数を上司から送ってもらいましょう。質問を確認するだけなら、自分の捨てアドで登録しても良さそうですがそれをやろうとしたら、US校の先輩から止められました。結構厳しいみたい。
上司に画面のスクショを送ってもらい、例年と変わりないことを確認。
その後、すでに大方出来上がっていた自分のEssayを送り、それを読んでから、推薦状の質問5つに対して字数制限なしで一旦記載してもらいました。
字数制限なしにしたのは、削るのは簡単ですが、増やすのは容易でないためです。
分量が少なすぎると困ると思ったので、先輩から頂いた推薦状を一緒に送付して、分量や書き方のイメージを掴んでもらいました。
その後、出来上がった日本語での2つの推薦状の下書きと、自分のEssayを突き合わせて、エピソードの被りがないか、総合的に自分の長所が伝わっているかを判断し、編集しました。
余談ですが、MBA受験で他者による校閲が許されているのは、CVとEssayのみなので、推薦状は基本的に他の人(自分も翻訳業者も)が推敲することはルール違反。自分で書いたりや翻訳などやる場合は、ひっそりこっそり行いましょう!
とはいえ、このことを私は他校の先輩から聞いたのですが、MBA受験のルールという、明文化されたものがないので、本当なのかはわかりません。
もしかしたら出願する時の登録の際のTerms & Conditionsに小さく書いてあるのかな・・・?見つけた方はぜひ教えてください。
推薦状に対して自分で行うこと
私はEssayは大枠ができた段階で、2者の推薦状の下書きが返ってきて、推敲に入ったので、Essayとのエピソードの重複がないか、Strenghth/Vision/Personalityの3カテゴリに各設問のエピソードを分類していました。
これはUS校を対象とするようなパッケージカウンセラーを使っている方に教わった方法。本当にこんなに重複を気にするんだ・・・・!と慄きましたが、最終的には、大事なエピソードは自分と上司の2方面から語ってもいいだろうと、多少の重複はスルーしました。
また最終的に英語化する工程以外では、最後の文字数調整が思った以上に大変でした。
一見推薦状の設問の解答欄に文字数が書いていなくても、実際貼り付けてみると字数オーバーのパターンもあり、上司が報告してくれて、また再度字数調整したことを思い出す・・・。
最後に
推薦状は、自分をアピールする書類。
という設問は鉄板の推薦状の質問ですが、ここで正直に、自分の欠点を本気でなんの戦略もなく書くのは問題外!!!
どこまでもストラテジックに。欠点として書くことは、改善したり経験を積みさえすれば、候補者の未来の価値につながるような素質、自分の磨けば光る原石の部分について書くべき。
例えば、私の場合、Essayでロングタームゴールとしてサステナブルな病院開業を目指していると書きました。
In what areas can the applicant improve?
While Ms XX has solid relationships with medical personnel and other physicians, she lacks extensive experience managing people as a team leader. As mentioned in Essay 2-2, she was an early member of the team that was actively involved in establishing xxxx centre. —————.When it was launched, the treatment department was a small team of four doctors and five optometrists. I believe that she did not lead that team as its head and that even while working as a physician, she led a team of about ten medical staff members. As a result,she should improve the necessary expertise as a top executive in managing a large staff. Her ambition is to build an innovative hospital system focused on preventive medicine, which will necessitate managing a large organisation that transcends professional boundaries.——————-.Her MBA education at XXXX(学校名) will further enhance her management and leadership skills. I am confident that her studies at your institution will help her achievethe goals she envisions after graduation and will ensure her success.
(実際にUS校に提出した推薦状の一部です)
この場合の推薦状での足りない資質や能力は、【大きな組織をマネージしたことがないこと】【一からチームを作ったことがない】そういった点において自分には成長の余地が残されている、というふうに書いてもらいました。
この点をMBAで補完すれば、候補者はきっとこのロングタームゴールを実現するだろうな、と採用担当官を納得させられるように、欠点を書くことがポイント!
思わぬ副産物
推薦状は、出来上がってみると、人生でこんなに私って人に褒めてもらったことある・・・?と思うような、読むたびにパワーがもらえる宝物に。
自分で全て書いていたら出てこなかったようなエピソードや長所も盛り込んでもらえてたので、まずダメもとでエピソード出しの段階から上司の方に頼んでみるのも一つだと思います!
無事に受験が終わったら推薦状のお礼も忘れずに。
今回も海外MBAを志すみなさんの後押しができたら幸いです。
コメント